不動産投資は節税だけを目的にすると失敗する?失敗しない心構えとは?

繰上げ返済は節税になるのか

高年収な方や公務員・サラリーマンの方は、不動産投資節税になると聞いて不動産投資を始めることも多いと思います。確かに不動産投資をすると、節税できる場合がありますが、「節税目的だけの不動産投資は失敗する」とも言われています。

この記事では、
・失敗する理由
・不動産投資による節税の仕組み
注意すべき点
・不動産投資の上手い活用法
などを、わかりやすく解説をしていきたいと思います。

節税目的の不動産投資は失敗する?

不動産投資の失敗

「不動産投資は節税になりますから!」こんな不動産業者のよるセールストークは、不動産投資を検討しているときによく聞く言葉ではないでしょうか。日本は高所得者になればなるほど税金が高く、どれだけ稼いでもお金が残らないといわれます。例えば課税所得が2000万円を超える場合は、社会保険や厚生年金を合わせて、ほぼ半分を税金として国に払う必要があることもあります。

そのような状況では節税目的で「不動産投資をしてみようか」と思いたくもなりますが、「節税目的だけの不動産投資は失敗する」とも言われています。

では、なぜ節税目的の不動産投資が失敗してしまうのでしょうか。

節税効果(減価償却費による)を実感できるのは数年

不動産投資を始めると確定申告をしなくてはなりませんが、その際に賃貸経営にかかる諸経費を課税所得から控除できます。これが節税の主たる要素です。不動産の賃貸経営の経費に計上できるものには、

・不動産取得の諸手続費用
・固定資産税
・修繕費
・管理費
・保険料
減価償却費

などがあります。

この中で最も大きな経費として計上できるのが減価償却費です。

しかし、実はこの減価償却費による節税効果を実感できるのは最初の数年だけです。

新築などの最大の恩恵を受ける物件でも最長15年が目安で、それ以降は経費として計上できなくなります。

そのため、減価償却費の節税分がなくなっても、収支が黒字化できる計画で始めなければ赤字になってしまいます。

節税効果でお得な物件に見えるだけ

不動産業者が「節税効果がありますから大丈夫」と物件を提案してきた場合、注意が必要です。

実は、賃貸経営による収支が低い方が、節税効果が大きくなります。

投資家がそのことを知らず、「節税効果」のみに着目して「お得な物件」と錯覚してしまうと、キャッシュフローを生み出さない物件を購入してしまうことも。

つまり、最初から収益性の悪く、持ち出し分の多い物件を購入してしまう心配があります。特に高収入の方や、安定企業や公務員の方は、融資側からすると属性が良いので全額ローンを申し出てくるかもしれません。あまり良いとは言えない物件を安易に全額ローンで購入しないよう気を付けましょう。

5年以内で売却すると損してしまう

節税目的でマンションを購入し、減価償却費による節税効果終了前に売却しようとしても、損失を出すケースがあります。

その理由は、不動産売却に際して発生する譲渡税です。

物件購入から5年以内で短期売却(短期譲渡)した場合、譲渡税はなんと売却価格の39.63%にもなります。

そのため5年以内で売却すると、節税効果以上の赤字を生む可能性があります。

そもそも不動産投資が節税に繋がる仕組みは?

不動産投資と節税

そもそも不動産投資が節税になる主な理由は、

・所得税
・相続税

が減額されるためです。

ここでは、それぞれの仕組みについて見ていきたいと思います。

所得税が節税できる

所得税を節税できるというのは、不動産賃貸収入のほかに会社勤務した所得がある場合、会社から得た所得と家賃収入の合計を課税所得として考えることができるからです。今は会社勤務をしながら副業で不動産投資をする方が増えていますから、その場合には年間の不動産投資にかかった諸経費を計上することで、課税所得全体を減額することができます。

例えば給与所得のうち課税対象額が500万円、賃貸収益が100万円の場合は600万円が所得税の対象になります。ここに、計上できる諸経費として、1年間の賃貸の管理委託費、保険料、ローンの利子分、減価償却費、修繕積立費など合計120万円あるとします。そうすると、

課税対象額500万円+賃貸収益100万円―経費120万円=課税対象額480万円

つまり課税所得が20万円分減額になるという仕組みなのです。

相続税が節税できる

自分の財産を子供や家族に相続させる場合、相続税がかかります。資産を現金で持っているよりも、不動産の方が相続税は3分の1に抑えられることになっています。それを上手く利用して現金資産で投資用不動産を購入して相続税を節税する対策が増えています。

通常ですと、相続税は相続税評価額といい、資産にどれくらいの価値があるかを評価した額に課税する仕組みです。しかし、不動産の場合は路線価と呼ばれる不動産の基準で評価額が決まります。

さらに相続したい不動産が、賃借人の住む投資用不動産であれば、評価額は半額になります。これを「小規模宅地の特例」と言います。

具体的には、路線価が5000万円の投資用マンションだったら評価額は2500万円に下げられ、課税遺産総額はさらに下がるので、5000万円の現金を相続させる場合の3分の1程度の相続税で済みます。

節税目的で不動産投資をした人達の実例は?

節税目的で投資した実例

では節税目的の不動産投資が必ず失敗するかというと、そんなことはありません。むしろ、節税対策もしながら賢くキャッシュフローも生み出す方法を学んでいただきたいと思います。

そこで、ここから実際に節税目的で不動産投資をした経験者の実例をご紹介してみましょう。

節税効果を得られた公務員30代Wさん

愛知県在住の公務員のWさんは、ご夫婦二人暮らしです。公務員でも昔ほど安定感がなく、毎年収入が減っている状況でした。現在の年収は300万円。退職後の生活に不安があり、不動産投資を始めました。不動産業者の説明で一番メリットを感じたのは節税効果です。高収入の方が節税のメリットが大きいと知りましたが、マンション経営にかかった経費を計上できるというのが魅力でした。

購入したのは東京都内の中古マンションです。賃貸料は月80,000円にして管理委託料は月5000円、管理修繕積立費が月1万円、ローンの利息分が月4万円、固定資産税は年5万円、損害保険料年5000円、減価償却費年50万円、その他4万5千円です。不動産賃貸経営にかかる経費を年間で算出すると、126万円の経費がかかっていることになります。

※(1か月の諸経費)55,000円 × 12か月 +(固定資産税) 50,000円 +(保険料) 5,000円 +(減価償却費) 50万円 +(その他) 45,000円 = 126万円

これに対して年間の家賃収入は96万円ですから、家賃収入の収支は96万円 – 126万円 で マイナス30万円でした。これを年収300万円から30万円マイナスすると、課税対象額は270万円となります。

実際の節税額を計算してみると翌年の所得税は3万円減りました。

※不動産購入前は、所得300万円 ×(税率)10% –(控除額) 9万7,500円 = 20万2,500円

不動産購入後は、所得270万円 ×(税率)10% –(控除額)9万7,500円 = 17万2,500円
不動産購入前後の差額:20万2,500円 – 17万2,500円 = 3万円

所得税は3万円の節税となって翌年に返ってきました。住民税も3万円節税できたので、合計6万円の節税となりました。賃貸経営のマイナスはローンを繰り上げ返済して対応する予定ですが、まず節税対策としては満足しているということでした。

目標の収益を節税分で達成できたHさん

40歳になる団体職員のHさんは奥様と子供2人の4人家族です。ご本人は年収1500万円、奥様も450万円ありました。子供が続けて生まれ、奥様が会社を辞めて7年間は育児に専念することになったのをきっかけに、不動産投資を始めました。

税引き後の収益目標を300万円に設定し、その金額を実現するため、思い切って東京都内のマンション5000万円の物件を購入することにしました。1戸から得られる収益と貯金を2戸目の購入資金として再投資して、5年後には3戸目を購入する計画です。

減価償却費による効果が大きく、所得税と住民税の税金還付後の収益は270万円に増加しました。税引き前の収益では130万円だったのが、税引き後には270万円を達成できたことになります。なぜ税引き後のほうが多いのかというと、減価償却費が計上されるので不動産所得がマイナスになり、給与所得からの税金還付があるためです。

これからの注意点としては、減価償却が切れる5年目以降にタイミングをみて売却を図り、資産の組み替えを行うなど今後も計画も着々と練っています。

Hさんには金融の知識があり、属性も高かったので、条件の良い融資が受けられました。

なお、1戸目はほぼフルローンでの借入4900万円ができ、返済期間も20年と長く、金利は3.1%という条件でした。

不動産投資の失敗率は?

不動産投資の失敗率

これから不動産投資に対する関心は益々高まっていくと思われますが、不動産投資を始める方は、最悪のケースも念頭に置いておきたいところです。

サラリーマン給与からの持ち出しでもローンの返済ができなくなり、ローン破綻してしまうことが最悪の結末です。

では実際にローンが返済できなくなる確率はどのくらいなのでしょうか。意外だと思われるかもしれませんが、ある銀行の調査によると、投資用不動産ローンで3ヶ月以上の長期延滞率は0.2%程度と低い水準だという結果が得られました。

ちなみに、住宅ローンの場合ですと、3ヶ月以上の延滞率は2.1%(平成27年:フラット35の調査)ということで、住宅ローンの方が高くなっています。不動産投資の家賃収入が普通に入れば、ローン返済ができなくなることは、あまりありません。不動産投資で失敗して返済不能になる確率は、そこまで高くないということですね。

不動産投資で失敗する原因は?

不動産投資に失敗する人

不動産投資で失敗する一番の原因は、何の知識も持たず、勉強もせず不動産投資を始めてしまうことです。

知識が不十分だと、不動産業者などの話を鵜呑みにしてしまいます。例えば「利回りが高い物件を選んだ方が良い」と聞いたので、高額な物件を買うことにしたが、購入後の様々な出費が原因で赤字になってしまった、などという話は日常茶飯事です。購入や賃貸経営の諸経費を知らなかったための失敗です。

また、投資の目的が明確ではないと、目的に合った収益物件を購入できないケースがあります。副収入を得たい、節税したい、相続税対策をしたい、資産形成したいなど、不動産を購入する目的を明確に設定してください。

総じて失敗のない方法としては、資産価値の下がりにくい立地にある物件を購入することがポイントです。実際に投資物件を購入する際には、エリアと最寄り駅で選ぶのが、わかりやすいと思います。

さらに、不動産業者、金融機関や投資家同士の繋がりを持たずに、一人で空回りすると、失敗しやすいと言えます。不動産業者の中には、相手がどのくらいの知識を持っているか、さぐりを入れながら都合の良い提案をしてくることも少なくありません。担当者と上手くいかない、と思ったら不動産業者を変えてみましょう。

また先輩投資家のブログや色々なサイト検索して、とにかく情報を得ることが大事です。

不動産投資で失敗しない為に心がけておきたいことは?

不動産投資の注意点

まずは、不動産投資全体にいえることですが、「不動産投資は節税できる!」の営業トークをそのまま鵜呑みにしないことです。基本的に家賃収入で収益を残すように取り組む、ということを頭に入れておいてください。節税対策は、その二次的な目的にしておくと良いでしょう。

不動産投資の本来の目的は「不動産投資を通じて長期的な収益を得て、資産を形成する」ことです。

それには、諸経費がかかることを予測して、余裕を持たせた資金計画を立てることが大切です。

そのうえで、資産価値の下がらない優良物件を選ぶようにすれば、失敗の確立を低減させることができるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。確かに不動産投資は節税対策になりますが、その仕組みには複雑な部分もあることがお分かりになったかと思います。

不動産投資を始める際には基本的に「その物件から収益を上げる」ことを優先してみましょう。

物件選びの目も自然に備わってきますし、ローン返済の計画も甘くならずに済むかと思います。

様々な融資の勧誘や物件の提案もされると思いますが、その基本を忘れずに進めていくことをおすすめします。

 

繰上げ返済は節税になるのか

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