不動産投資を現在行っている不動産投資家の方の中には、不動産投資ローンの金利が高く借り換えを検討しているという人もいるかもしれません。
不動産投資ローンの借り換えには、良い面と悪い面の両方があります。今回は、不動産投資ローンの借り換えに関するメリットとデメリットを紹介しながら、詳しく解説していきます。
不動産投資ローン借り換えのメリット
不動産投資ローンの借り換えをするメリットにはどのようなものが挙げられるでしょうか。大きなメリットを4つ紹介していきます。
①金利コストを下げ、収益が改善できる
一般的には不動産投資ローンの金利が低くなったタイミングで、借り換えを検討するケースが多いでしょう。
このようなタイミングで借り換え、金利コストを下げる事ができると、不動産投資物件の収益性が改善します。融資額の規模にもよりますが、場合によっては年間で数十万円から数百万円程度のキャッシュフロー改善が見込まれる事もあります。
融資金額が大きくなるほど、金利コスト低下の効果は高くなります。
またキャッシュフローを改善することで、不動産投資戦略の柔軟性を高める事もできます。
②借り換え先の金融機関によっては信用度が上がる事もある
借り換え先の金融機関が、以前の金融機関よりも規模が大きく安定している場合、借主側の信用度が上がる事もあります。
そのような金融機関は審査が厳しいですから、「融資を受けられた」という事実が投資家自身の評価にもつながるためです。
投資家として金融機関からの信用度が上がれば、他の融資の審査も通りやすくなります。新たな融資で不動産を買い増せば、不動産投資の規模をさらに拡大させることができますよ。
③借入金元本の返済スピードをあげ、出口戦略を立てやすくなる
不動産投資ローンの借り換えによって
・金利を下げたり
・借入期間を設定し直す
ことが可能になります。
それによって借入金の元本を減らす速度を速められれば、不動産投資の出口戦略を立てやすくなります。特に出口戦略として不動産の売買を積極的に考えている人は、不動産投資ローンを早めに返済しておく事で、キャッシュが手元に残りやすくなります。
④借り換え特典が受けられる場合もある
金融機関によっては、信用度の高い投資家の借り換えを積極的に受け入れている所もあります。そのような金融機関では、借り換えが成立すると借り換え特典が受けられるような場合もあります。
たとえば、各金融機関が提携しているサービスの割引やポイント付与等を受けることができ、微増ではありますが投資効率を上げることができます。
不動産投資ローン借り換えのデメリット
では、不動産投資ローンの借り換えをするデメリットはあるのでしょうか。
実は不動産投資ローンの借り換えを行う際には、注意しておかなければならないデメリットがあります。借り換えによって損をしてしまうこともありますから、以下でしっかりとご説明していきます。
①借り換えの際に様々な手数料が発生する
不動産投資ローンを借り換える際には、様々な手数料が発生します。
まず、借り換え元である金融機関に対しては、一括繰り上げ返済手数料が発生します。ただし、この手数料は借り換え先の金融機関のローンに組み込むことができるケースもあり、一時的な手数料として表面化しない事もあります。また、借り換え元の金融機関のローン規約によっては、違約金が発生する可能性もありますので注意しておきましょう。
さらに、借り換え先の金融機関に対して登記費用や事務手数料が発生します。不動産投資ローンの貸主が変わるため、抵当権等の担保権を登記簿上書き換える必要があるためです。
借り換え後の条件があまり変わらなければ、手数料の分損をしてしまうこともあります。具体的な手数料について予めしっかりと調べておきましょう。
②手間や時間が掛かる
不動産投資ローンの借り換えを行う際には、
・借り換え先の金融機関の選定
・審査の申し込み
・各種書類の作成や提出
等、どうしても手間や時間が掛かってしまいます。
審査に通らなかったり、書類に不備等があった場合、すべてが無駄になってしまう事もありますので注意しておきましょう。
③借り換え元からの融資が受けにくくなることもある
金融機関は資金を貸して金利を得る事が事業ですから、借り換えによって元の金融機関は収益源を失う事になります。そのため、借り換えられることは金融機関にとってあまり好ましい事ではありません。
不動産投資ローンの借り換えを行うと、場合によっては今後同じ金融機関から融資が受けにくくなることも十分考えられますので、注意しておきましょう。
不動産投資ローンの借り換えができる人の条件
不動産投資ローンの借り換えを引き受ける金融機関側にもリスクがありますので、借り換えを希望する場合は新しい金融機関の審査に通過しなければなりません。不動産投資ローンの借り換えは、どのような人に認められやすいのでしょうか。
不動産投資ローンの借り換えが有利にできる条件にを4つ、ご紹介していきましょう。
①不動産投資が黒字で経営できている
まず、対象の不動産投資が黒字で経営できているかどうかという点が重要です。
赤字ですと返済が滞るリスクが高く、金融機関は融資に消極的です。
・入居率の安定性
・過去数年間の実績
等、不動産経営が安定しているかどうかを厳しくチェックされます。
また、不動産投資以外に安定した収入源があれば、投資家個人として黒字収入となりやすいため、審査に通過しやすくなります。
②物件購入から長い期間が経っていない
借り換えを引き受ける金融機関にとっては、できるだけ長い期間貸し付けて金利収入を得たいという思惑があります。
そのため、物件の購入から時間が経っていない方が、借り換えが認められやすいです。約10年前後が目安です。
それ以上の期間が経っていると残債も少なく、借り換えを行う側のメリットも出にくくなります。
③借り換え前の借入金利が比較的高い
借り換え前の借入金利が高い方が、借り換えを受けやすくなります。
基本的に借り換えをする際には、借り換え前よりも低い金利で借り換える事になります。そのため借り換え前の借入金利が低い場合、さらに低い金利を付ける必要があり、金融機関としては借り換えを認めるメリットがなくなります。
不動産投資ローンの金利相場は1%から5%程度となりますが、一つの目安として3%以上の金利で借り入れている場合は、借り換えを検討してみても良いでしょう。
④借入金の総額が大きくない
借り換えを検討している借入金の総額が大きい場合、借り換えが受けにくくなります。
ローンの額が巨額であれば、同時に貸倒れのリスクも大きいため、金融機関でも融資のための条件が厳しくなるためです。借り換えを受けられる借入金総額の目安としては、オーナーの年間収入の10倍程度になると言われています。
不動産投資ローンを借り換える時の注意点
不動産投資ローンの借り換えを行う際には、注意すべき点がいくつかあります。投資を成功させるためにも、知っておきたい注意点についてご紹介していきます。
基本的に不動産投資ローンの借り換えができる金融機関は少ない
基本的に不動産投資ローンの借り換えができる金融機関は少ないです。
また、借り換えの審査は比較的厳しいものです。
「せっかく借り換えができる金融機関を見つけたのに、審査に落ちる」ということも稀ではありません。説得力のある事業計画書を用意したり、信頼性の高いパートナーを見つける等、自分の信用度を高めていく事が重要となります。
融資期間が短くなった場合はキャッシュフローが悪化する事がある
不動産投資ローンを借り換える際、融資期間が短くなる場合もあります。
この場合、金利が下がったとしても月々の返済額が増え、キャッシュフローが悪化する事もあります。
月々のキャッシュフローを改善したいと思っている人にとっては逆効果になってしまいますから、借り換え後の融資期間にも注意を払っておきましょう。
キャッシュフローについて予測できるシミュレーションもありますから、ぜひ事前に利用してみてください。
金利のタイプにも注意
不動産投資ローンの金利タイプには固定金利と変動金利がありますが、借り換えの際には金利タイプも変更する事ができます。
一般的に金利上昇リスクが気になる場合は固定金利、金利状況が長期的に安定すると考えている場合は変動金利が選ばれます。
借り換えの際には、新しい不動産投資ローンの金利タイプにも注意を払っておきましょう。
また、金融機関によって固定金利が強い場合もあれば、変動金利が強い場合もあります。借り換え先の金融機関の特徴についても事前にリサーチしておいて、より有利な条件で借り換えができる準備をしておきましょう。
不動産投資ローン借り換えの手順
実際に不動産投資ローンの借り換えを行う際には、どのような手順となるのでしょうか。順を追って解説していきます。
①借り換え先の金融機関の事前審査を申し込む
不動産投資ローンの借り換えの手順は、新規での融資を受ける場合と同様です。
まず、必要書類をそろえて事前審査を受けます。この書類の中には、本人の収入を証明するものや、現在の借入金の状況に関するものが含まれます。
借り換えを引き受ける金融機関にとってもリスクがあるため、条件の良い不動産投資ローンの審査は一般的には厳しくなってきます。ただし、きちんとした事業計画書や信頼性の高いパートナーを見つける事ができれば、事前審査に通りやすくなるといえるでしょう。
②借り換え元の金融機関に不動産投資ローンを一括で返済する
借り換えの事前審査を通過した後は、新規で借り入れた資金を使って、借り換え元の金融機関に不動産投資ローンを一括で返済します。
この際、借り換え元の金融機関から一括返済手数料等が発生する事がありますので注意しておきましょう。とはいえ、一括返済手数料は新規のローンに組み込まれることが多いですので、基本的には表面化しにくい手数料となります。
③借り換え先の金融機関に対して新しい不動産投資ローンの返済が始まる
借り換え元に一括返済した後は、借り換え先の金融機関に対する返済が始まります。不動産投資ローンを借り換えると、基本的に金利のコストは下がりますので、毎月のローン返済負担が減るケースが多いです。
ただし、借り換え後の融資期間が短く設定されていると、毎月のローン返済額が増えてしまう事もありますので、注意しておきましょう。
不動産投資ローンの借り換えなら専門家に相談!
不動産投資ローンの借り換え時、どのように交渉したり手続きを進めていけばいいのか分からない方も多いと思います。
そのような場合は、不動産投資ローン借換えに関する専門家に相談してみましょう。
金融機関に直接相談する事もできますが、第三者機関として不動産投資コンサルタント等にも相談してみる事をおすすめします。
不動産投資コンサルタントは客観的な立場から、各不動産オーナーに向けて最適な提案を行っています。多数の金融機関に関する情報を持っていたり、交渉や手続き等の代行を行ってくれる等、悩める不動産投資家の強い味方となってくれますから安心です。
事前相談が無料な場合も多いですので、迷っている人は一度相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
以上、不動産投資の借り換えに関するメリットやデメリット等について解説してきました。
不動産投資ローンを借り換えて金利を下げる事で、収支が改善したり、投資戦略の柔軟性を増すことが可能です。一方、借り換えの際に発生するコストやデメリット等についても注意する必要があります。
借り換えを検討している方は、ぜひ一度専門家や代行業者に相談してみてください。
借り換えをうまく使い、不動産投資効率をさらに上げていきましょう!
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