老後資金は年金以外に2000万円の貯蓄が必要だという2000万円問題が2019年に議論され、老後の生活資金に関心を寄せる人は増えてきています。
そんな中、不動産投資への注目度も高まってきています。
不動産投資では、建物や土地を購入して、家賃収入を得たり、不動産の価値が高騰した時にはそれを売ったりする投資です。
その不動産を利用する人さえいれば継続的に家賃収入を得ることができるので、年金のような感覚で投資する人も多いです。
しかし、不動産の価値の下落などによって不動産投資で大きな損失を出してしまう場合も多くあります。
不動産の場合は株式や為替取引と比較して流動性が低いため価値の変動が大きく起こる恐れも大いにあるのです。
そこでここではどのような芸能人が不動産投資に失敗してきたのか、その失敗内容も含めて紹介していきます。
不動産投資で失敗した芸能人
1.阿部寛
阿部寛さんは現在も連続ドラマで主演を務める程の息の長い人気俳優です。
俳優で演じている役柄のイメージからはあまり不動産投資をして失敗したなどというイメージが湧かないですが、過去に不動産投資で莫大な損失を出しています。
この莫大な損失の原因はバブルの崩壊でした。阿部寛さんは1980年代にメンズノンノの看板モデルとして活躍していました。
そんな絶頂期に不動産投資に手を出すことになります。きっかけは知人の紹介で投資用マンションを購入したことです。
それからは不動産投資にのめり込むようになり、借金をしてまで不動産投資をしていきました。
そんな時にバブルが崩壊してしまい、当然所有していた不動産の価値は下落してしまいます。
結局のところ、負債は総額3億円にものぼると言われています。
その後は、仕事も低迷期に入り、一時期はパチンコで生計を立て、借金を返済していったと言われています。
パチンコで生計を立てていたというのがまた今のイメージとはあまり結びつきません。
その後、俳優として再び人気者となり、2007年に公開された映画『バブルへGO!』の記者会見で「最近になって借金を返し終えた」と語っていることから、20年近く借金の返済に時間がかかったことになります。
2.千昌夫
千昌夫さんは演歌界の大御所で、1960年代から1980年代にかけて数多くのヒット曲を世に送り出しました。
千昌夫さんが不動産投資にのめり込むきっかけとなったのは、仙台のある土地を購入したことです。
土地を購入したのは1970年のことです。
購入した土地というのが仙台市にある山で、5万坪という広大な土地でした。購入価格は4,000万円でした。
その1970年から1972年にかけて東北新幹線の計画が審議され、最終的に千昌夫が購入した土地周辺に新幹線が通ることになって、その土地の価格は高騰しました。
具体的には、地価は10倍ほどになりました。その後は不動産投資により力を入れるようになり、歌手活動を休業する程でした。
さらに多くの不動産を購入するとともに、世界各地で高級ホテルを作り、不動産王とも呼ばれるようになっていました。
しかし、バブルが崩壊することで多くの負債を抱えるようになり、千昌夫の所有する不動産会社のアベインターナショナルが1,034億円の負債を抱えて倒産しました。
その後、千昌夫の個人債務は約3,000億円にまで膨れ上がりました。
その後、民事再生法などの制度を活用することで、借金を1億5,000万円にまで減額した上で、6年間かけてその借金を完済することができました。
3.坂口良子
坂口良子さんは1971年にミスセブンティーンを受賞し、一躍有名芸能人となりました。
その後はドラマや映画の世界で活躍する名女優となりました。
坂口良子さんは、不動産会社の役員と結婚したのですが、この結婚がきっかけとなって不動産トラブルに巻き込まれることとなります。
その夫とは田山恒彦さんといって、会社を退職した後にヤシマ産業という不動産業を営む会社を設立します。
新宿ゴールデン街の地上げに関わっていて「地上げの神様」と呼ばれていましたが、バブル崩壊によって不動産価格が下落して、多くの借金を背負って会社は倒産します。
坂口良子さんはその会社の借金の連帯保証人に無断でされていたのですが、夫が逃亡したことによってその借金を背負うこととなります。
その借金の金額は40億円とも言われていますが、自己破産などの債務整理を一切行うことなく、自分に責任がある借金だからと、自力で40億円の借金を返済したようです。
坂口良子さんが直接不動産投資をして失敗したわけではありませんが、このように配偶者の連帯保証人にされるケースもあるので注意が必要です。
4.市川海老蔵
市川海老蔵さんは言わずと知れた歌舞伎界の若手スターです。
キャスターの小林麻央さんと結婚したことでも話題となりました。
そんな市川海老蔵さんも不動産投資の失敗に巻き込まれている人物です。
とはいっても市川海老蔵さん自身が不動産投資に失敗したわけではありません。
不動産投資に失敗したのは市川海老蔵さんの祖父です。
その祖父の借金を市川海老蔵さんの父親である市川團十郎さんが引き継いでいたのですが、市川團十郎さんも早々に命を落としてしまい、市川海老蔵さんが借金を背負うことになってしまっているのです。
その借金の金額は約19億円とも言われています。
歌舞伎の興行主である松竹がその借金を立て替えてくれている状況にあり、その代わりに先祖代々受け継がれている自宅の建物と土地は現在松竹の所有物となっています。
その自宅の土地と建物を取り戻すために市川海老蔵さんは日々頑張って働いているわけです。
一般的な家庭であれば、相続を放棄すれば済む話なのですが、市川海老蔵さんのように伝統芸能の継承を伴う家系の場合は相続を放棄することで失うものも多いので、相続を放棄するわけにはいかないのでしょう。
5.高橋由伸
高橋由伸さんは元プロ野球選手で現役時代は読売ジャイアンツのスター選手でした。
現役引退後すぐに監督のポストに就くなど、球団のフロントからの期待も大きい読売ジャイアンツのOBです。
高橋由伸さんも自分自身が関わった不動産投資で借金を背負っているわけではありません。
高橋由伸さんの父親が不動産会社を経営していて、バブルの崩壊でその会社が倒産してしまったことで、高額の借金を家族で背負うことになったのです。
高橋由伸さんは読売ジャイアンツ入団前の慶應義塾大学在学中にはヤクルトスワローズに入団したいという希望を持っていました。
しかし、読売ジャイアンツのフロントから入団したら父親の借金60億円を肩代わりするという申し出があったため、読売ジャイアンツへの入団を決意したと言われています。
6.レッド吉田
レッド吉田さんはお笑いコンビTIMのメンバーです。
高校時代、甲子園にも出場したスポーツマンとしても有名です。
そんなレッド吉田さんは、テレビ番組でも不動産投資の話をする程、不動産投資に精通した芸能人として知られています。
そんなレッド吉田さんも不動産投資で失敗したことがあるようで、それは最初に投資したアパートだそうです。
そのアパートへの投資金額ですが、土地代に8,300万円、建物代に6,000万円の約1億5,000万円かかっています。
全ての費用をローンで支払ったようです。
満室で利回りが6%台、ローンの金利が年4.5%ということで、約2%の収益を得ることが出来る話だったのですが、実際に投資してみると、収益の半分は税金として納めなければならない状況で、背負ったリスクの方が大きかったという結果になったようです。
別に借金を背負ったわけではないのですが、この不動産投資の失敗の原因が全ての費用をローンを使って支払ったことだそうです。
物件の立地などの条件は問題なかったのですが、ローンの金利が収益を圧迫する結果となったのです。
このアパートへの投資費用の一部、もしくは全額を自己資金で支払っていればまた結果は違ったのかもしれません。
その後、レッド吉田さんは不動産投資のスタイルを変えているようで、不動産投資をする時には土地を買って自分で建物を建て、それを4~5年保有した後に売却するという風にしているようです。
ただ、4~5年後にその建物と土地の価値が残っている、もしくは上がっていることが前提となる投資であるため、それなりに需要の高い立地に土地を買って建物を建てる経済力が必要となる手法といえるでしょう。
まとめ
ここまでで、有名人の不動産投資での失敗談を紹介してきましたが、まずバブル崩壊をきっかけに大きな損失が出た方が多いようです。
現在の日本は東京オリンピックで注目を集めていて、中国人などが日本の土地、マンションを買いあさっているといううわさも飛び交っています。
東京オリンピックの終了を契機に、不動産価値が下落するリスクは当然あります。
ですから、今の時期に不動産投資をするのであればそのあたりのリスクも踏まえて投資していく必要があるでしょう。
また、親族が不動産投資に失敗してそれを家族が背負うというケースも多く見られます。
不動産投資をする際には、家族に迷惑をかけるかもしれないということも頭に入れて、大きな借金をしながら不動産投資につぎ込むということをしないようにしましょう。
また、不動産投資のための連帯保証人を家族に頼まれたとしても、自分が投資をするかのようにしっかりと調べて納得した上でなるようにしましょう。