昨今様々な投資案件が巷をにぎわせています。
株式をはじめ、債券や地金などの資源、時に仮想通貨と言ったものまで投資の対象となっています。
そんな中、投資の対象として古くからあるのが、不動産です。
不動産は大きなお金が動くことから、様々な人物が集まっており、時に違法すれすれの手法で利益を上げるような人物すらいます。
そして、そういった流れで詐欺まがいの手法によって財産を奪う人間も少なくありません。
今回、この不動産投資をテーマにそれにまつわる様々な罠、とくに初心者を狙った巧妙な罠についてお話しします。
この記事を読めばきっと、初心者を食い物にする不動産投資の罠について多くのことを知ることができるのではないでしょうか。
不動産投資の世界は怖い?初心者を陥れる罠とは?
不動産投資の世界は怖いです。
初心者を陥れる罠が数多くあるからです。
そんな怖さを象徴する事例を6つ紹介します。
それは
①悪徳業者の口車に乗せられた
②売りっぱなしで逃げられた
③リスクの大きい不動産会社を選んでしまった
④投資対象の物件と家賃収入の物件を混同してしまった
⑤手数料に目がくらんだ
⑥入居募集がうまくいかなかった
というものです。
一つ一つ見ていきましょう。
①悪徳業者の口車に乗せられた
Aさんは職場にかかってきた電話でマンション経営について興味を持ち、実際に電話してきた会社に連絡を取りました。
そして、営業マンと会って話をしたところ非常にテンポよく話が進んでしまい、いつの間にか銀行の事前審査まで通されていたのです。
進むところまで進んでしまったので後には引けないといわれ、しかもキャンセルは違約金がかかるといわれたのです。
当然そんな違約金を払うこともできない状況だったのですが、紹介された中古物件は空室の保証がなく、修繕計画(不動産と言う資産の価値を維持するうえで重要な計画)もなされていないというひどい物件でした。
資産ではなく負債となってしまう状態だったため、泣くなく違約金を払ってキャンセルしたのでした。
しかし、実際はこのような場合に違約金を支払う必要はありません。
知識があれば避けられた事例なのですが、初心者はそういった知識がありませんから、上手く騙されてしまい、払う必要のない高額な違約金を払ってしまうということになります。
②売りっぱなしで逃げられた
これも初心者がよく陥る罠です。
街頭で名刺交換をしている女性がいたので、頑張っていると思い名刺を渡したところ、電話営業がしつこく来るようになりました。
結局根負けして話を聞くことになったのですが、話を聞くと節税対策、家賃保証、管理も不動産会社で行うなどいい話ばかり耳にしました。
結局物件である中古のワンルームマンションを購入したのですが、すぐに入居者が退去してしまい、業者に連絡しても電話はすでに使われていませんでした。
携帯にもつながらず、結局営業で聞いた家賃保証、不動産会社による管理も全て嘘だったのです。
今では近隣の賃貸業者に入居者探しを依頼して回っているという状況で、副業として始めたつもりの不動産投資が時間を奪う負債となってしまっている事例と言えます。
このような業者に当たらないためには事前に調査しておくということが大切であり、安易に業者を選びがちな初心者が陥りやすい状況です。
③リスクの大きい不動産会社を選んでしまった
この事例では、聞いたことのない不動産会社からの電話に対応してしまったことから始まります。
話を聞くと、とても丁寧に説明をしてくれて、
①大手の手数料の高さ
②大手のフットワークの重さ
③大手の企業でも倒産する時代
ということなど、大手のデメリットを散々聞かされました。
納得のいく部分も大きかったので、その小さな無名の不動産業者から中古のワンルームを安易に購入してしまったのです。
しかし、その後連絡が途絶えてしまい、どうやら廃業して消えてしまったということで、結局大手の不動産会社に管理を依頼するという羽目になってしまったという事例です。
不動産業界は、事業者の乱立や様々な投資家の参入で競争が激化しているうえ人口減の時代で不動産も売れにくくなっています。
そのため、経営体力のない不動産業者は簡単に淘汰される時代になっており、業者も実績や体力のある業者を慎重に選ぶ必要があるという事例でした。
④投資対象の物件と家賃収入の物件を混同
ファミリータイプとワンルームで迷った結果、物件の性格が異なるものを買ってしまったという事例です。
この方は、ファミリータイプとワンルームで迷ったあげくに、ファミリータイプのマンションを購入しました。
業者を選ぶところまでは良かったのですが、実際に運用してみるとファミリーマンションは購入価格が変化するものの、家賃収入は変わらないという性格の物件と言うことを知らなかったのです。
そのため家賃収入を考慮した利回りで考えるとワンルームの方が高く、ファミリータイプは広い分高額なリフォーム代に加え、リフォームが完了するまでに時間もかかる結果となり、結果的に損をしてしまいました。
「ファミリータイプの物件には転売に向いている物件が多い」ということを知っておく必要があると気付かせてくれる事例でした。
⑤手数料に目がくらんだ
この事例では、サブリース契約(入居者がいなくても家賃が入る契約、管理会社がオーナーから物件を借りて、その物件を入居者に貸すという、又貸しの契約のこと)のワンルームマンションを購入しました。
計画通りに家賃が入金されて、この状態がずっと続けば年金受給と同時にローンが自動的に完済できて家賃収入がそのまま年金がわりになる予定だった方なのですが、インターネットで「サブリースは儲からない」という情報や「手数料が高いため、一般管理にすれば手数料が安くなる」という情報を知り一般管理に変更したのです。
確かに安くはなったのですが、入居者が入れ替わるたびに高額なリフォーム代やクリーニング代を支払い、さらに入居者の入れ替わりのたびに2~3か月の空室がでるという事態が発生し計画は崩れていきました。
サブリース契約の手数料の高さはこういった手間を含めた料金ということを知らずに、失敗をしてしまった事例です。
⑥入居募集がうまくいかなかった
最後に、入居募集がうまくいかなかった事例です。
徒歩5分の好立地にあるワンルームの築浅物件(新築から年数があまり経っていない物件)を購入した方ですが、実際に物件を見ると外観はとても綺麗で入居者もいるためサブリースよりも手数料が安い「一般管理」にした方がいいと営業マンに言われ、言われるがままに契約しました。
しかし、いったん退去した後は次の入居者も決まらないという状況になったことで、収入はなくなりました。
一人暮らしの多いワンルームは長くは住まずに、すぐに退去してしまうということを知らなかったのです。
そのため、入居者を探すことに時間や手間、そしてお金をつぎ込むことになり、管理が難しくなってしまいました。
このようにワンルームは入居者を募集することが大変なので、一般管理で行う場合はそういったことも考えて利用する必要があります。
あくどい不動産会社や業者は、初心者に対し向こうに有利な契約を勧めてきます。
そういった意味で、それに乗せられたリ、あるいは浅い知識で判断することで大きな失敗をしてしまうという事例が多くあるのです。
善良な会社を選ぶ大切さが分かりますね。
そもそもなぜ不動産投資の勧誘は怪しいの?
不動産投資の勧誘は怪しいというイメージがあります。
その理由として、悪質な業者による電話営業や詐欺案件が大変多いということがあげられます。
たとえば電話営業は、一件でも成約できれば大きな収入が得られるため、とにかく手あたり次第電話をする企業もあります。
そのためネガティブなイメージが増し、不動産の勧誘は怪しいというイメージが植え付けられています。
また、投資詐欺という言葉がありますが、不動産投資においても詐欺事件が多発しています。
投資コンサルタントを名乗って、こちらに不利なサブリース契約を結ばせるような案件やファイナンシャルプランナーを名乗り不動産投資で節税ができるという節税トークによって不良な不動産を掴まされるという詐欺も起こっています。
また、収入が少ないうちから不動産投資を行うべきと言って全てローンで物件を買わせ、維持費すらローンを組ませるということもあります(その会社が抱えている不良物件をローンで買わせて手放すことができるためです)。
また、売り文句も「将来確実に値上がりする物件があるから投資しないか」というもので、将来の不確実な事実をさも決定事項のように伝える悪徳業者もいます。
実際に真っ当な不動産会社も多い中、こういった犯罪的な営業を行う業者が後を絶たないため、多くの方がいつの間にかあらゆる不動産投資の勧誘が怪しいというイメージを持つようになりました。
不動産投資初心者が罠に合わない為の対策方法は?
それでは、不動産投資の初心者が罠に合わないための対策方法を5つ紹介しましょう。
それは詐欺リスク、空室リスク、家賃変動リスク、物件リスク、不動産会社リスクについて対策を講じることです。
①詐欺リスク
詐欺リスクとは、
・契約して手付金を受け取った後に業者が姿を消す
・最初の物件は大幅なマイナスで売却となるが、全物件を売れば利益が出ると言われて最初の物件を売った後会社が消えること
・ありもしない海外不動産を買わされれる
・投資家の勤めている会社から発行される源泉徴収票を改ざんする(スルガ銀行による貯金残高の改ざんなど)
があります。
これを回避するには、不動産会社のチェックが欠かせません。
知り合いの不動産会社や第三者的な不動産会社から、話を持ち掛けた不動産会社について聞くこと(詐欺的な会社ならすぐわかる)や契約まで時間を置くこと(相手が強引に話を進めてきたら断わる)、海外であれば困難かもしれませんが実際に行って確かめることなどです。
②空室リスク
次に、一般管理を行った場合に陥りやすい空室のリスクです。
手数料が安いという理由で選びがちなのですが、あらかじめ購入前あるいは契約前にその物件の居稼働率(もしくは空室率)や空室期間を厳密に想定しておくことが必要で、安易に契約することを回避しましょう。
③家賃変動リスク
家賃変動リスクは、物件の経年によって低下していく可能性があり徐々に収入が減っていきます。
さらに入居稼働率が低く空室期間が長ければ、家賃は低下する傾向は強くなるのです。
こういったことを考慮しないで物件を買うことが初心者は多いので、都心や地元の都道府県の中心エリアのように将来的に需要が期待でき、かつ供給も少ないと見通されるエリアを選ぶことで、家賃変動リスクの対策になります。
④物件リスク
物件リスクに対する対策も大切です。
入居者退室時のリフォームや設備の老朽化による破損、修繕と言ったもので築年数の古い中古物件の場合、あらかじめ修繕費用を見込んでおかないと、思わぬ出費に苦しめられます。
こういったリスクに対しては計画的な積み立てをしておく必要があり、それが対策となります。
収入をどんどん借金の返済に回しがちな初心者にとって忘れがちなリスクです。
⑤不動産会社リスク
最後が不動産会社リスクです。
冒頭でも再三お話しした通り、詐欺を行う会社も多いため、対策は多岐にわたります。
しつこい営業や強引な勧誘、おとり広告に注意したり、購入した後も安心して任せられる業者であるかということを入念に調査したりする必要があるのです。
また、不動産会社を選ぶときには特に注意すべき点として、入居者を確保する力があることをしっかり見極めましょう。
多少手数料が高くとも入居者を入れる力がある業者と組むことで、購入後のリスクを回避できます。
まとめ
不動産投資は大きなお金が動く分、様々な業者が参入し、初心者をだます罠が至る所に仕掛けられています。
時に詐欺師も関わっていることもあり、企業でさえそういった不動産投資で詐欺師に騙される場合があります。
そんな目に遭わないためにもきちんと対策をしていきましょう。